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いつの間にか、日付が変わろうとしていた。 夜も遅かったので、私とお兄さんは眠ることにした。 お兄さんは最初、私に怖いものを見せてしまったことに責任を感じているようで、部屋に一人にしても大丈夫かと、心配していた。 私はあっけらかんに大丈夫とだけ答えた。 先程の怖さなんて、どこかへ吹き飛んでしまっていた。 ベッドに入り、先程のことを反芻する。 眠れなかった。 とても、眠れる状態ではなかった。 心がモヤモヤして、叫び出したい気持ちでいっぱいだった。 目が冴えてしまったので、先程お兄さんに教えてもらった問題の復習でもしようと、勉強机を借りようとした、その時だった。 見覚えのある封筒が目に入った。 それは、麻衣さんが見せてくれたお兄さんの妹さんからの手紙だった。 見るつもりがなかったと言えば、嘘になる。 でも、私は誰かに話を聞いてもらいたかった。 麻衣さんから、お兄さんの妹さんは私と同じ経験をしたことがあると聞いていた。 だったら、なおさら、これからどうしたらいいか、聞いてみたかった。 私は自分の家にまだ大分残っているレターセットがあったことを思い出した。 明日、取りに帰ろうか。 そして、お兄さんの妹さんに手紙を出そう。 返事が返ってくるかは、分からないが、それでも、やってみる価値はあると思った。
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