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お兄さんはその後すぐに大学に行った。
今日は朝から授業があるらしい。
私は時々勉強の合間にお兄さんに大学の話をせがんだ。
彼の大学の話は中学生の私には、とても新鮮だった。
中学と大学は同じ学校でも全然違った。
大学は時間割を自由に組むことができるので、調整次第では、平日でもアルバイトを入れられたり、休みを作れたりするらしい。
それがすごく私には魅力的に感じた。
自分が何になりたいのか、何の勉強がしたいかはまだわからないが、私もいつか大学に通ってみたい。
そのために今は勉強するしか道はない。
今の私の成績ではどこの大学にも入れないだろう。
私はますます勉強に勤しむようになった。
それと同時に早く大人になりたいと思った。
大学とアルバイトを両立させ、独り暮らしをしているお兄さんや、すでに社会人として働いている麻衣さんを見ると、ますます自分が子供に思え、恥ずかしくなってくる。
私がもっと、大人だったら、金銭的な余裕もできて、ママを安心させられるのに。
そんなことを考えながら、昨日、お兄さんに教えてもらった箇所を復習しようと、問題集を開こうとしたところで手が止まる。
あることを思いついた。
今のうちに一度家に戻って、レターセットを取りに行こうか。
スマホの時計を見ると、すでにママがパートに出掛けている時間だった。
直ぐ様、立ち上がり、自分の家の鍵を手に持って、私は玄関へ向かった。
玄関を出て、すぐ自分の家の鍵を開け、ドアを静かに閉める。
一応、玄関の靴を確認したが、やはりママとパパの靴はなかった。
そのことに胸を撫で下ろしながら、玄関を入ってすぐの自分の部屋へと進む。
ドアを開けると、なぜか自分の部屋じゃないような気がした。
配置などは最後に部屋を出たときと同じはずだった。
いつもと変わらないはずなのに、どこか、違和感がある。
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