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私はいつの間にか、眠りに着いていたようだった。 昨晩、考え事をしていて、寝不足だったのもあるかもしれない。 ソファーから、上半身をおこすと、さっきよりも体が軽くなっている気がした。 レターセットと一緒にテーブルに置いていたスマホを見ると、待受画面にしている時計の短い針がてっぺんを指していた。 夏休みだからと言って、こんな自堕落な生活をしていることを知ったら、あまり怒らないママにも、叱られてしまうだろう。 ママの怒った顔を思い浮かべて、私は苦笑した。 勉強はちゃんとするから、今日だけは許してね。ママ。 特に何もしていなくても、お腹が空いたので、キッチンに向かい、冷蔵庫を開ける。 昨日の晩ご飯の残りがあったので、電子レンジで温める。 その間に、今日の晩ご飯は何にしようか、スマホで検索をかけた。 私の料理経験では、難しいものはまだ作れないので、メニューは限られる。 でも、スマホのレシピサイトを見れば、私みたいな人でもレパートリーが少なくなるのを、防いでくれた。 昨日のことを思い出す。 昨日は麻衣さんが夜勤だったので、お兄さんと麻衣さんは別々の時間に夕ご飯を食べたにも関わらず、二人とも示し合わせたかのように私の料理をとても美味しいと褒めてくれた。 今日も美味しいって、言ってもらえたら、すごく嬉しい。 想像するだけで、私の頬は自然と綻んだ。 そうしていると、電子レンジが鳴ったので、私はテーブルの上を片付けて、食事の準備をした。
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