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僕は結の傍にしゃがみこみ、ポケットに入れていたハンカチを結の後頭部に当てた。
青色のハンカチは結の血でみるみる染まっていった。
結は目を閉じ、ぴくりとも動かなかったが、まだ温かった。
「お母さん、タオル持ってきてくれませんか?」
「え?」
「タオルを持ってきてください。止血しないと」
結の母親はパニックに陥っているようだったが、僕の言葉に頷き、洗面所にタオルを取りに行った。
その間にも結の父親は逃げようともしなかった。
やっと、自分がしたことの罪の大きさに気づいたようで項垂れていた。
僕はポケットに入れたままにしていた携帯電話で麻衣を呼んだ。
素人の僕が応急処置をするよりも、その方が良いと思ったからだ。
麻衣への電話が終わると、結の母親が何枚かタオルを渡してくれた。
それを受け取り、僕は結の傷口を当てるものをハンカチからタオルに変えた。
ハンカチは元の色が分からないぐらい、血で赤黒くなっていた。
結の母親は先程よりも少し冷静さを取り戻したようだった。
「結は大丈夫なの?」
「多分意識を失っているだけだと思います。息はしてますし、体温もあります。
でも、病院で見てもらった方が良いと思います」
結の母親はひとまず、ほっとしたようだった。
「救急車を呼んでますから、安心してください。もうすぐ、僕の知り合いの看護師がここに来ますから、家に入れてもらってもいいですか?」
「わかったわ」
麻衣はすぐにやって来た。
結の母親が玄関を開けてくれた。
麻衣は結の状態を見て、一瞬戸惑っていたが、すぐに止血を交代してくれた。
遠くでサイレンの音がした。
麻衣が呼んだ救急車か警察だろうか。
僕は応急処置を麻衣に任せ、結の父親がこの状況から逃げないように念のため傍で見張ることにした。
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