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「私、お二人のこと、何があっても絶対に忘れません。
もう会えないけど、お二人との思い出を一生、心に刻んで生きていきます」
結は笑った。
今まで見た中で一番美しい笑顔だった。
この笑顔を僕は一生忘れないだろうと思った。
「もうすぐ、警察が事情聴取に来ると思います。
その前にお二人は帰ってください。
お願いです。
私はお二人を巻き込みたくありません」
麻衣は名残惜しそうに俯いていた。
それを見て、僕が先に動くしかないと思った。
「わかった」
僕は麻衣の腕を引いて、椅子から立ち上がった。
「結、またね」
これでお別れじゃない。
いつか、きっとまた会える。
なぜだかわからないが、この時はそう感じた。
「結ちゃん。ありがとう。じゃあね」
僕に急かされた麻衣も仕方なく立ち上がり、そう告げた。
結は笑顔で小さく手を振って、僕たちを送り出してくれた。
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