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「あ、あ、あ・・・【全帝】様・・・」
ドラゴンを両断し、目の前に佇む男へ向かい片膝を付き頭を垂れ、涙ながらに呟く
「顔を上げてくれ・・・来るのが遅くなってしまって本当に済まなかった・・・
戦場へ遅れてきた俺に頭を下げる必要なんてない・・・」
やや低めの、だがよく通る声で謝罪を口にし
兵士の方へ向き直ると自身の頭を下げた
「そ、そんな!貴方様が私に対して頭を下げる通りなどありません!」
目の前の男─【全帝】に頭を下げられ、慌てて上げていた顔を再び頭を垂らして伏せた
「だが、俺は遅れた・・・
より早くここに来ていれば救えた命もあった・・・
謝罪など人の命に比べれば軽いものだが、せめて貴方の散っていった同士達への手向けとして欲しい・・・」
そう言う男の声は微かに震えていた
「そのような勿体なきお言葉・・・有難く頂戴し、同士達への墓前に向けましょう・・・
【全帝】様・・・この戦いを・・・終わらせて下さい・・・ 」
「・・・俺は【全帝】この戦いに終止符を打つためにここに来た
・・・あとは俺に任せてゆっくりと休むといい」
【全帝】の言葉を聞いて安心したのか、それとも張り詰めていた緊張の糸が切れたのか
兵士の意識は途切れ、地に倒れた
「・・・『蒼波刀』」
己が武器の名を呼び手中に鞘に収まった刀を握りしめて彼は戦場へ跳躍して行った
──そして、【全帝】の活躍により戦争は終結した
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