あなたがくれたもの

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    シャキーン!   目覚めの悪い彼に、朝起きないとミーコは必殺技を出す。    「だあああー痛てえええ」   ある日、彼の腕に引っ()き傷を見つけた。  「それ何?」  「ミーコにやられた。餌が遅いと怒るんだよ」  「寝てたんでしょ?」    うん・・と彼は言う。  「けどさ、引っかくだけじゃない。コイツ、()むんだ」  彼がいつも、ミーコは猛獣と言ったが、私にはそんなそぶりは見せない。    だけど、うちに来て分かった。      彼の言葉の意味を。    普段のミーコは寝てる。  お婆さんなので、何と20歳。人で言うと100歳は越えてる。     なのに、良く食べる。       目を合わすと、餌ー!   餌と水、トイレ掃除してブラッシングが済むと、ミーコは寝る。     用事が済めば、アンタに様はないと言う貫禄(かんろく)で。    そのくせ甘えて来る。   インコの世話してると、ニャーニャ―。   用事はない、嫉妬(しっと)だ。隣に居ればいいらしい。    彼はずいぶんと、猫かわいがりしてた様子。     ミーコの言いなり、ミーコの家来。    だから、私も振り回せると思ったらしい。    ごめんね、私は半病人。振り回されるとダウンするのよ。     だから世話したら、寝ててください。      でもインコの部屋に気づくと乱入。    こらこら、どこから入るの?   猫ってほんの少しの隙間(すきま)でも、通れるから不思議。   始めこそ、ミーコの乱入にケージ越しでもドタバタ怖がるインコ達も、   今は慣れて、ミーコが寝てたら反対に3羽して乱入フライング。     絶対、ミーコが来れない高い所でのんびり。  ミーコ。バカにされてると思い、ふて寝。    飛び回るセキセイインコの3姉妹。   やーい、やーい。    そんな声で鳴きかわすと、完全にふざけて聞こえる。  猫とインコの、まさかの同居。    先が思いやられる。
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