あなたがくれたもの

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      もしも生まれ変わりが本当にあるのなら、      私はまた、お母さんの子に生まれたい。     お兄ちゃんの妹になりたい。   そして何よりも、あなたに会いたい。     斎場(さいじょう)で泣き崩れる私の背を、       なっちゃんと一緒にさすってくれた人。    生前「お前に会わせたい奴が居るんだ」と     彼が言った、大学の後輩の子。    初対面なのに、そんな気がしなかった。     すぐに仲良しになった。   彼女は未婚で、ボケ始めた父と弟と一緒に暮らしてる。   父がふとしたことで、大腿骨(だいたいこつ)を骨折。    入院して、そのまま寝たきり。   そしてボケ始めて退院した父を、弟と()ている。   当然、彼女も退職か?と思えば、自宅でしていると言う。     彼女はコンピュータープログラマー。   ネット越しに自宅で仕事、いい時代になったなぁ。    私が彼のパソコンを(ゆず)り受けたいと言った時も、     「OK、一緒に行こう」と、安いプランを探してくれた。    接続(せつぞく)も彼女任せ。   なっちゃんと違うタイプの、気さくなしっかり者。   彼女は斎場で泣く私に、なっちゃんと共に言ってくれた。    「赤い糸で結ばれてるから、来世で会えるよ」と。   そして「今世で結婚し損ねたから、来世は派手にやろう」だって。   私は笑った、涙と笑いの混じり合い。  だってなっちゃんまで、それいいね!なんて、大笑いする。   私達、3人の笑顔が晴れ渡る空にはじけた。     ねぇ、聞こえる?    もう遠い、空の上のあなた。   私には、仲間がいる。    一緒に泣いたり笑ったりする、友達がいる。
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