出会いと恋歌。 

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出会いと恋歌。 

    ねぇ、知ってる?ずっと前から好きでした。   知ってる?こんなにも、人を愛せた事を。    知ってる?   あなたは私には近そうで近けない、兄の親友で、     私の初恋の人だった事を。  兄といつも難しい本の話をして、私は中に入れなかった。    ううん、違う。自分で自分に、自信がなかったの。    告白する、勇気がなかったの。                ##   大学生の兄の親友のあなたは時々、家に来ていつも私をからかった。  そばにいる、それだけで良かった。  あなたの話ごえ、声のトーン。    冗談ばかりで、いつも笑ってた優しい人。  でも大学を卒業すると疎遠(そえん)になって、来なくなった。   私の中で、何かが音を立てる。      まるで泣いているように。                ##                始めて想いを伝えた時、顔から火が出そうだったの。   言えなかった想いを、今こそ伝えよう。  ずっとずっと前から、私の中で降り積もった思い。    言葉に変えた時、あなたは笑ってくれた。  「動物園にシロクマの赤ちゃんを、一緒に見に行ってもらえませんか!」   完全にデートの申し込み。    「いいよ。」  そういって笑ってくれた、あなたの笑顔を私は忘れない。     天にも昇るような、あの時の気持ちを。
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