その鼓動を、一番近くで

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クンクンと匂いを嗅ぐ市倉さんの姿に、 私は何も言えずにフリーズしてしまった。 「お、さっぱりしてて旨そう。 戸井田、意外とドライなの飲むんだな。 もっと甘いのが好きなのかと思ってた。 俺もあとで頼も……」 私にグラスを戻しながら、 ようやく私が赤面してることに気づいたようで。 「っ、あ!ごめ……これセクハラか?!」 市倉さんが慌てたように言うもんだから、 その大きい声が周りの社員にも聞こえてしまったようだ。 「え?なになに市倉、何かしでかしたの?」 「セクハラはいけませ~ん」 からかいの声が飛んできて、 「セクハラじゃなくてアプローチでーす」 市倉さんも冗談で返して、笑いが起きる。
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