恋愛ダイナマイト

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恋愛ダイナマイト

 私は本当にいけない人間だ。  どうしてか?  教師という身分でありながら、生徒に恋心を抱いてしまったからだ。  それも、人生はじめての恋。  親の方針で女子中からエスカレーターで女子大まで進学したので、ほとんどといっていいほど男性との関わりがなかった。  友達は他の大学に行ってサークルに入ったり、バイトで彼氏を見つけているらしいのだが、私自身そこまで行動力も無く、金銭面でも親から毎月お小遣いは貰っていたのでバイトの必要性もなく。  何より恋愛をしたことがなかったので、恋愛について、そして男性について深く知ろうとも思わなかった。  『好き』という感情が理解できないうえ、一人でも生きていける自信はなぜかあった。  しかし、周りの友人が彼氏との2ショットの写真を見せてくるたびに、少しずつ思いが変わっていった。  ――『恋』ってなんだろう。  そんな私が教師になった理由は、女子高校生時代の男性教師の顔を思い出したからだ。  というか、男性の顔を思い出せと言われてもお父さんかその先生しか思いつかなかったからである。  そこから教師の道を進むことを決めた、というのが本音である。  一度決めてしまえば後は簡単だった。幸いにも私が在籍していた学部は、資格を取るために必要な授業は整っており、それらを履修しつつ教員試験の勉強も進めていった。  そして、半年前の4月に新任として、公立高校に赴任したのである。
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