14人が本棚に入れています
本棚に追加
男性との関わりは同僚である先生や男子生徒くらいだが、割と話せることに気が付いた。
でも、友達が言っていた恋愛感情とは遠い感情しか生まれていない気がしていた。
しかし、それは赴任して少し経ったときに起こった。
私はいつも通り授業をするつもりであったが、どうもクラスの調子がおかしい。
よく見てみると、男子2人で喧嘩しているようだった。
「ちょっと!! 今は授業中よ!!」
私がそう呼びかけるもクラス中はヒートアップしていて誰も耳を貸してくれない。
これは本当にヤバい……。
教師としての経験値が足りない上に、喧嘩しているのが男性で、どう対応すればよいか分からなかったのだ。
目の前が真っ白になった瞬間。
「おいおい、お前ら。先生困ってるしもうここらでやめとけよー、宿題増えたらお前らのせいだぞ」
クラスでは決して目立つようなキャラでもないはずの男子生徒――玉井君が喧嘩の仲裁に入ったのだ。
喧嘩をしていた生徒たちは、声の主が玉井君だと分かり、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
いつもは穏やかで、仲裁に入るようなキャラではないからだからだと思う。
そのおかげで頭が少し冷えたみたいで喧嘩はひとまず収まってくれたのだった。
「はい、じゃあ、授業を再開しますよ。あと少しで授業終わるからそれまで頑張ろう」
そして、ちらりと玉井君の顔を見ると、私の方を見ながらにっこりとほほ笑んでいた。
――そこで私は恋に落ちたんだと思う。
最初のコメントを投稿しよう!