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彼は直ぐに教えてはくれず、わざと遠回りをした言い方をしている。
どうするって言われても...ただ何となく聞いただけ?
...違う。私は......
「啓ちゃんの...好きなタイプの女性になりたいの......」
ーえっ?私...今...本人に言っちゃったよね......
心の中の声ではなく、声に出して言ってしまった事に自分で驚いていると...
彼は立てられた膝に肘を乗せ、頭を抱え小さなため息をついた。
ーどうしよう...
彼の態度を見て焦った私は、今の言葉をなかった事にしようと必死に言葉を綴った。
「...ていうか...ほ、ほら...啓ちゃん、理想高いから今もひとりなんでしょ?...だから、そのー...その高い理想を目指していい女になれたらなーって...」
...上手く誤魔化せたと思っていた。
けど...私が言い終わると同時に、頭を抱えていた彼の腕は私へと伸びて来て...
私は彼の腕の中で...優しく抱きしめられていた。
「なつ......もういいから...」
私の悪足掻きを止める為に彼はそう言って、抱きしめてくれたんだと思っていた。
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