距離

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何となく...今までと態度の違う夏希には気づいてはいた... けど、それは... 少し大人になったから、一番近くに居る俺を異性として認識し始めたんだろう... それくらいにしか思っていなかったんだ... 夏希の誕生日の翌日。 初めて俺に対して赤面していたのは、恥ずかしさだけではなく... 俺に対する好意も入っていたんだろうな... それに気づかず俺は... 秀一に気づかれないよう、わざと宿題のわからない所を教えるふりをして、夏希の部屋へ行って... 自分で意味有りげにしてしまっていたのかもしれない。 あれから秀一の家で仕事をする時、夏希は学校から帰って来ると必ず地下のレコーディング部屋へやって来ていた。 宿題を広げてはいたがそれをする様子は全くなく、大人しく俺達の仕事を見ていた。 けど...何度も()が合い...その度にそらされてしまっていた理由が今ならわかる。 夏希に勘違いさせてしまったのは俺だ...... 『え...ただ...啓ちゃんの好きなタイプを知りたくって...』 『啓ちゃんの...好きなタイプの女性になりたいの......』 そう言わせたのも...俺だ...... 最近の夏希の態度と今言った言葉で、夏希の気持ちがわかってしまい小さくため息をついた。 そんな俺を見て、頑張って誤魔化そうとする姿に自然と手が伸びていた。 ごめん。俺が悪いのに...俺なんかにそんなに頑張らなくていいから... 抱きしめた腕の中で、夏希は小刻みに震えていた。
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