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「ええっ?マジ?どういう心境の変化だよ。高校すらまともに行かなかったお前が?」
俺が驚いてそう返すと、彰人は
「後悔ってのは、あとからするから後悔なんだよな。俺、その後さ、もう一回夜間高校に行って、大学受験にチャレンジしたんだよ。このままじゃダメだって思ってさ。やっぱさ、親にも苦労かけたし。将来、親を楽さしてやりたいって思ってさ。今度、教員免許取る。」
と笑った。
「すげーな、お前。マジ尊敬するわ。」
達也はひとしきり腕を組んで感心していた。
「で?克也は?今、何やってんの?」
竜二から俺にそう振られて、皆の注目が俺に集まった。
「俺か?俺は、今、トラック運転手。」
俺は、そう答えると、ビールを一口煽った。
ただし、その職にありついたのは、ほんの半年前の話だ。それまで、俺は、無職だった。前の職場を喧嘩でやめてしまい、五年間無職だったのだ。
「そういえばさ、玲子は元気か?ほら、お前、学校卒業して、すぐに玲子と結婚したじゃん。」
玲子というのは、俺の妻だ。
「ああ、元気だよ。」
「俺たちさあ、みんな玲子に惚れてたんだよなあ。それをお前がかっさらって行ったんだからさあ。本当にお前が羨ましかったぜ。お、そうだ。玲子呼べよ。久しぶりに会ってみたいな。」
「あ?ああ、玲子は来れないよ。」
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