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ポイ捨て禁止
まさか、何気ない自分の行動が、こんな事態を招くとは思わなかった。俺は、大雨の中、急いで車に乗り込んで、ワイパーをフル稼働させ、ある場所へと向かっている。
ことの始まりは、ほんの些細なことだった。
その日は、先日久しぶりに連絡があった竜二から誘われて、同窓会とまでは行かないが、昔の悪友達と居酒屋で飲んだのだ。
「ほんと、久しぶりだな。何年振りだろうか。」
竜二は、あの頃はスリムな体型だったが、三十路になって、多少ふくよかな体型になり、座敷にあぐらをかくと、ぽってりしたお腹がジーンズの上に乗っかっていた。
「十年ぶりくらいじゃね?」
そう横から乗り出して、上気した顔でグラスを傾けているのは、達也だった。
「今、お前、何やってんの?仕事。」
俺が達也に問いかけると、
「見りゃわかるだろーが。この顔色、見てみろよ。外仕事よ。建築関係。」
と真っ黒に日焼けした顔を指した。
「わかんねーよ。お前、元々、色黒かったじゃん。」
そう突っ込みを入れたのは、彰人だった。達也とは対照的に彰人は色白で細面だ。
「そういうお前は、今、何やってんの?」
「俺か?俺は、今、大学生だ。」
そう言って、彰人は謎のブイサインをした。
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