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「それじゃあ、約束ね」
夜の闇をパッと飾った花火の下で、二人はとある約束を交わした。
「絶対にまた、ここで会おうね」
小指にありったけの気持ちを込めるようにキュッと、力を籠めてそう口にした。
幼いながらに一度引っ越しをすると、二度とここには戻っ「それじゃあ約束ね」てこられないと思った。
だから、僕にとっては「約束」だけじゃなく、初めて「決意」だった。
十年後――
山道を一台の乗用車が走っている。
#佐々木「……あと、どれくらいで着くんすか?」
後部座席でスマホをいじりながら聞いてきたのは佐々木紳悟くん。
今回のメンバーでは一番の後輩だ。
#主人公「えっと……」
#高橋 「もう十分も行けば着くみたいだ」
そして、今答えたのは先輩の高橋優さん。
#佐々木「それで、これから行こうって場所はどんなところなんすか?」
#主人公「僕もよく知らないな」
#高橋 「あまり知られてない心霊スポットみたいだな」
今日は大学で知り合ったらしい友達二人と親友、そして僕。
この四人で心霊スポットへ向かっている。
#佐々木「よくそんな所見つけられたっすね」
#高橋 「ネットは偉大だな」
なんて、話している間に目的地が近づいてきた。
#佐々木「そういえば、本当に隼さんは来なくていいんすか?」
質問されたのは僕の親友の三上隼。
隼はその問いに対してうなずいて答えた。
#主人公「あいつは肝試しとか昔から苦手なんですよ」
#高橋 「まぁ、車出してくれるだけでも有り難いよ」
#佐々木「隼さんが驚くところも見たかったっすけどね」
#主人公「確かに、見てみたいかも」
#高橋 「あまり無理強いはよくないぞ」
当の本人は気にした風もなく運転していた。
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