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車を降りると軽い湿り気を帯びた風がスッと吹き抜けた。
#主人公「着いちゃいましたね」
#佐々木「いやぁ、着いちゃったっすね」
#高橋 「着いちゃったな」
と、三人共に軽く腰が引けているのを知ってか知らずか、我が親友は「ここで待ってる」と言い、窓を閉めた。
#高橋 「……ここまで来たからな、ひとまず行くか」
と意気込んだところで、何か、が近くを横切って消えた。
何が、通っていったのだろう。
二人を見ると、
#佐々木「ゆ、優先輩、今通りませんでした?気のせいっすかね?」
#高橋 「き、気のせいじゃねぇのか?」
明らかに、何かを見てしまった人のそれだった。
#高橋 「でもよ、今みたいのを見たくて来たんだから、行くしかないんじゃね?」
その一言で、引ける雰囲気ではなくなった僕らは、意を決し森の奥へ向って行った。
#佐々木「それでなんすけど、この森全体が心霊スポットなんすか?」
#高橋 「いや、奥まで進むとポッカリ穴が開いたみたいに開けた場所があるんだよ」
#主人公「へぇ、そんな所があるんですね」
#高橋 「そういや今日、この辺り花火大会だってよ」
#佐々木「ここからでも見えますかね?」
廃墟があるくらいだから当然だろうけど。
#佐々木「道無くなってきてないっすか?」
#主人公「足元、気を付けてね?」
#高橋 「そういえばお前、虫は平気なんだったよな?」
#佐々木「虫は平気っすよ。というか、得意なジャンルっすから」
#主人公「得意なジャンルって……?」
#高橋 「なんだそりゃ」
二人で呆れながらも、先頭に立ち歩きやすいようにしているのに気が付いた。
そのまま少しばかり進んだところでまだ整備されてた名残のある場所に出た。
#佐々木「お、ここは道っぽくなってるっすよ」
#主人公「あ、ここの道、覚えてる」
#高橋 「本当だ、ここからは俺が先頭を行く。足、平気か?」
やっぱり、覚えている。
いや……思い出した、と言った方が正確かもしれない。
でも、何故?
一体、何を忘れていて、何を思い出したのだろう?
と、一人ぼんやりとしていた。
すると、二人の近くでガサガサ音がした。
人を襲うような野生動物はいない、はずだけど……。
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