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「私は伊集院家が憎いんです。だから、敦司さんが伊集院家の人間である以上、彼の力は借りたくないんです」
あの時の敦司さんも伊集院家から離れたいとずっと言っていた。
でも、それは叶わない夢。
彼の父は当時、総理だったし、伊集院家本家の長男である敦司さんが次期当主になるコトは決まっていた。
次期当主に相応しい器にする為、伊集院家の人間たちは敦司さんに過大な干渉をし、友人関係にまで、口を挟んだ。
敦司さんはおかしいと異議を唱え、抗っていたが。
度重なる周囲の干渉に、敦司さん自身も疲れてしまった。
「高校時代、敦司さんには親友と呼べる友達が一人居ました。でも、その友達とは叔父である今の副頭取のせいで、絶縁させられました」
「・・・」
「貴方が何をきっかけで、伊集院家を憎んでるかは分かりませんが・・・伊集院家を憎んでいるのは敦司さんだって同じですよ。きっと・・・」
「ママみて!!おねえちゃんが絵が上手なんだよ。ひこうき描いてくれたんだ」
雪姫が描いた飛行機を紡君が俺達に見せに来た。
「お前…絵上手いな。雪姫」
「私、美大卒だから・・・」
「へぇー・・・」
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