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東京・赤坂。
大手広告代理店『順天堂』本社ビル内20階。
『順天堂メディアパークス』
雑然としたオフィスフロア。
電話の音に人の話し声そしてキーを叩く音。
沢山の音が入り混じっていた。
私はその中で校正チェックをしていた。
私が働く会社は『順天堂』がメディア部門だけを分割した子会社。
互いの繋がりは強く、新卒社員の合同採用、人材交流は積極的に行われ、その他の社内制度の均一化も行われていた。
親子関係はとても良好で、働きやすい環境だった。
「小泉さん!!」
私の直属の上司・香川課長が私を呼んだ。
「はい!」
私は慌てて、椅子から腰を上げて、課長のデスクに歩み寄った。
「彼が君に用があるそうだ」
「!?」
課長のデスクの脇には一人の男性が立っていた。
「『順天堂』秘書室チーフ・逢沢勇(アイザワイサム)です」
彼は私を宵闇色のキレイな切れ長の瞳で私を見た。
「初めまして、法人営業部・営業補佐・小泉雪姫(コイズミユキヒ)です」
『順天堂』秘書室のチーフの人が私に何の用だろうか?
もしかして、3週間前の・・・身代わり見合いの・・・
私は全身に焦りの汗が滲ませながら、自己紹介されたので、自己紹介した。
「仕事はいいから・・・彼について行って…小泉さん」
「わかりました」
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