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~雪姫side~
「今日中に、これにサインして明日、俺に提出だ」
社長は私に封筒に入った書類を渡す。
「何ですか?これは・・・」
「見れば、わかる」
私は封筒の中身を確かめて、驚愕した。
「これは…婚姻届!!?」
「俺のサインと捺印はしている。証人欄も既に父さんと母さんのサインと捺印がしてある。後は君のサインと捺印だけ。
間違えはちゃんと訂正印押せっ。以上だ」
「突然サインしろと言われても・・・」
「まだ、結婚披露宴の予定は未定だが。とりあえず、入籍は先に済ませて、一緒に住む話になっているはずだ。訊いてないのか?」
「正式な返事もまだだと父からは訊きましたが」
「正式な返事なんて最初から決まっている・・・最初に言ったはずだ。この見合いは断れないと。
身代わりを差し出されたのは想定外だけど。父さんには早く結婚しろと再三言われていた。
このまま、結婚しなければ、社長職を解任するとまで言う始末。
俺は社長の椅子を誰にも渡したくない。
君は絶対にサインと捺印するんだ!分かったな」
「・・・」
彼は自分のポジションを守るだけの為に結婚する。
私の意思なんて、何も考えていなかった。
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