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~雪姫side~
定時の時刻が差し迫る中。フロアに逢沢さんの姿は見えた。
彼は私の姿を見つけて、慌てて駆け寄る。
「仕事は定時で切り上げて下さい。小泉さん」
「でも・・・」
香川課長も私の元に歩み寄って来た。
「後は俺達で何とかするから…小泉さんは上がっていいよ」
「課長・・・」
課長も既に湊社長から訊いたのか…私と達生さんのコトは知っていた。
このまま、逢沢さんに付いて行けば、私は二度とここには・・・
「ついでに私物もまとめてください。小泉さん」
「えっ!?やっぱり私は・・・秘書に・・・」
「貴方は、明日付で『順天堂』秘書室に異動です」
逢沢さんは大声で私に告げた。
周囲は仕事を中断して、私に注目。
「皆さん、お仕事中に申し訳ありません。私は『順天堂』秘書室チーフの逢沢です。此処に居る小泉雪姫さんはわが社の白石達生社長と結婚するコトが決まりました。社長に代わり、この私がご報告させていただきます。つきましては、明日付で、彼女は『順天堂』秘書室に異動し、社長秘書に就くことが決まりましたので、合わせてご報告申し上げます」
私はいきなり・・・皆さんに最後の挨拶をする羽目になった。
「皆さん、お世話になりました」と。
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