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~雪姫side~
「どうぞ」
と逢沢さんが車の後部座席のドアを開け、私達に乗るよう促した。
達生さんは何も言わず、当たり前の顔で乗り込んだ。
「ありがとうございます」
慣れていない私は逢沢さんに礼を言って乗り込んだ。
「逢沢、ダイヤモンドホテル銀座に向かえ」
「承知しました」
逢沢さんが運転席に乗り、エンジンをかけた。
座り心地の良いシートには白い布がかかっていた。
足元のスペースは広く、ゆったりと座るコトが出来た。
達生さんも長い足を組み、シートに背中を預けて、リラックスムード。
「ホテルに行って、何をするんですか?」
「君の服を買って、最上階の展望レストランでディナーを食べる」
「服を買う??」
「格式のあるホテルだ。今、着てる服ではダメだからな」
私は自分の服を確かめた。
「今日の服は私の一番高い服なんですけど・・・」
「高そうには見えないな・・・」
「一応、ブランドです!!」
「・・・そう喚くな」
「大体、達生さんは何でもズケズケ言い過ぎです」
「お世辞を言った方がいいのか?じゃその服は君にピッタリだ。雪姫。君はセンスがいいな」
「・・・キモチは全くこもっていませんね」
「キモチは込めていないからな」
彼は前髪を掻き上げる。
左手首にはブランド物の高級腕時計。
彼の着ているスーツも上質な雰囲気の漂うオーダーメイド。
センスがいいので有名だけど。
性格が何処となく歪んでいるのが…達生さんの欠点。
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