スイートルームの訪問者

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****** 『ダイヤモンドホテル銀座』 ロビーの天井は3階まで吹き抜けで、ぶら下がるシャンデリアの輝きが眩しかった。 見合いの席で利用した展望レストランでディナーか・・・ 見合いの時は振袖の帯が苦しくて、思うように食が進まなかったから、今度はリベンジして、完食を目指そう。 「行くぞ。雪姫」 「はい」 彼は私の手を引いて、エスカレーターで2階まで上がった。 「どこに行くんですか?」 「いちいち訊くなよ。ついてくれば分かる」 ちょっと訊いただけで、怒るなんて短気な人。 彼は2階のブティックに入るなり、店長を呼んだ。 「お~い。店長は居るか?」 「久しぶりです。白石社長」 奥から出て来たのはショートカットの似合う美人。 「久しぶりだな。佳代。適当に彼女の服を選んでくれ」 「この方は?」 「俺の婚約者だ。俺、結婚するコトになったんだ」 「えっ?結婚?? 白石社長は一生独身だと宣言してなかったですか?」 「一生は無理だった。俺は白石家の長男だから・・・いいから、早く選んでくれ」 「社長の頼みなら、仕方がないですけど・・・」 店長は恨めしそうに私を一瞥して、私に合うドレスを選び始めた。
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