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『ダイヤモンドホテル銀座』
ロビーの天井は3階まで吹き抜けで、ぶら下がるシャンデリアの輝きが眩しかった。
見合いの席で利用した展望レストランでディナーか・・・
見合いの時は振袖の帯が苦しくて、思うように食が進まなかったから、今度はリベンジして、完食を目指そう。
「行くぞ。雪姫」
「はい」
彼は私の手を引いて、エスカレーターで2階まで上がった。
「どこに行くんですか?」
「いちいち訊くなよ。ついてくれば分かる」
ちょっと訊いただけで、怒るなんて短気な人。
彼は2階のブティックに入るなり、店長を呼んだ。
「お~い。店長は居るか?」
「久しぶりです。白石社長」
奥から出て来たのはショートカットの似合う美人。
「久しぶりだな。佳代。適当に彼女の服を選んでくれ」
「この方は?」
「俺の婚約者だ。俺、結婚するコトになったんだ」
「えっ?結婚??
白石社長は一生独身だと宣言してなかったですか?」
「一生は無理だった。俺は白石家の長男だから・・・いいから、早く選んでくれ」
「社長の頼みなら、仕方がないですけど・・・」
店長は恨めしそうに私を一瞥して、私に合うドレスを選び始めた。
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