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瞼は半分閉じかけてたが……
しっかりと彼女の黒目とぶつかる。
なんで眼開けてんの? あ、俺もか。
全く違和感無く、当たり前の様に互いを凝視。
重ねた唇にブワッと体温が上昇?
いや、そんな単純じゃなくて。
唇をゆっくり離そうとしたその時にそれは入って来た。なんだコレ……柔らかくて暖かくて。
甘い…………マッズゥ!
唇とその先が名残おしかったから目線は重なったまま。
だけど口の中に広がるこの甘ったるっーいの………ハイチュウ?俺の混乱した味覚と欲とはまるで明後日方向に、彼女はそれモモ味とか言ってケロっとしとる。
や、マズッいっす。
つか挨拶程度の仲なんに、突然キスした俺も俺だけど君も君だよね?
「や、普通やらねーっす」
ったけど。
彼女の唾液まみれのソレが舌先から俺の口内に入って来た時は完全に俺は彼女を求めてた訳で……
や、待て!!下半身がって事じゃ無くて。
この得体の知れない欲求。
全部欲し。彼女の全部。
よっぽど俺が不味そうに咀嚼してたから?
またしてもケロっとした顔で
"いらないならかえして"
なんて言うもんだから思わず笑った。
「くははっ、うける。ん、ほら、いらねぇから返す」
今度は丁寧に彼女を引き寄せてから唇を重ねて
意識がっつりそこへ集めたまんま。
丁寧に。丁寧に。丁寧に。
ゆっくり。ゆっくり。ゆっくり。
ほんとなら舌絡めたかったが
なんせ蝉が…とか
虫歯俺無かったかな……移したらどしよとか
細けぇ事が気になる。
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