第3章・もう一人の美少女

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 その少女は八雲が思わず声を出してしまうほど、日本人離れしたというか人間離れしたというか、周囲から一際際立って輝くように美しかった。 「お、おっ」  突然起こった信じられないような光景に、八雲は呆然とその美少女に見入った。  液体のダイヤモンドが満ちているような輝く潤んだ瞳に、吸い込まれそうな魅力の淡い唇。美しく輝く光の粒子が見えそうな美しい白い肌。宇宙幾何学の奇跡が現出したような神秘的な顔の造形。少女のその美しさはまさに神の奇跡のように輝いていた。 「はああぁぁ」  あまりの美しさに言葉にならない感動と呻きが、少女を見つめる八雲たちの口から洩れた。八雲たちだけではない。周囲の男という男の口から、感嘆のため息が漏れた。  その美少女は、ゆっくりと中央の傾斜のある通路を凛とした姿勢で八雲たちのいる方に降りて来た。まるでエスカレーターに乗っているかのような静かで無駄のない動きで階段を下りる姿は、それだけで感動するに足るものだった。 美しいのはもちろんだが、気品というか落ち着いた神々しい美しさのオーラを全身に纏っていた。 「なんて美しいんだ」  泰造が八雲同様、茫然と少女を見つめながら呟いた。 「ああ」  八雲とハカセも呆けたようにただ感嘆するしかなかった。普段あまり女性に興味を示さないハカセまでが口をあんぐり開けて見惚れていた。     
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