第1章・謎の美少女

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 五人が正門の前まで来た時だった。 「あっ、しまった」  八雲が叫んだ。 「どうしたんだよ」  泰造が八雲を見た。 「忘れ物」 「まったく、ドジだなぁ」 「先行っててくれ。直ぐ追いつく」  八雲は一人、慌てて校舎の方に戻って行った。  人気の無い廊下を八雲は走った。 「くっそぉ~、めんどくせぇなぁ」  八雲は走りながら一人愚痴った。 「確かあそこに忘れているはずなんけどなぁ」  その時だった。何か異様な気配を感じ、八雲は顔を上げた。すると、廊下の向こうに、人が一人立っているのが見えた。 「あっ」  それは、あの姫巫女純だった。 「なっ」  しかも、何かただならぬ空気を感じる。八雲は走るのをやめ、その場に立ち止まった。 「なっ、なっ、」  純の周りには、何か光のオーラのようなものが、気化したドライアイスのように漂っている。それは気のせいではなく確かに見えた。 「な、なっ、なんだ。どうなってんだ」  八雲が戸惑う中、純はゆっくりと八雲の方に近づいて来た。純は、その透き通る青い目で、八雲を射貫くように見つめていた。 「あなたは発生してしまった」  その声はどこまでも澄んで、全ての空間に響くようでもあり、八雲の心の中に直接響いてくるようでもあった。     
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