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「な、何を言っているんだ」
何か尋常ではない何かを感じ、八雲はたじろいだ。純の視線はやはり、しっかりと八雲を捕らえている。
「あなたは、あなたという存在の現れは、現象の彼方でそうあってしまった」
純は視線をそらさず、なおも八雲にゆっくりと流れるように近づいて来る。
「な、なんなんだよ。何言ってんだよ」
「あなたがあなたであることの輪廻が、あなたを殺し続けなければならない。それが私という運命(さだめ)」
「な、何を言ってるんだ」
その時、純の美しい瞳が以前講義堂での時のように、迫るように八雲を貫いた。
「ううっ」
八雲の意識は純に捕らわれ、そして沈むように霞んでいった。
「う、ううぅ」
薄れゆく意識の中で、八雲はまた心の奥深くに眠る何かが、ドクドクと息づいているのを感じた。
「こ、これは・・」
八雲が、最後に呻いた、その時だった。
「伏せて」
何か別の誰かが八雲の前に突然飛び込むように現れた。その瞬間、何かがはじけるように強烈な光と衝撃が走った。
「うわぁ」
八雲は、まぶしさに右手を顔の前にかざし、叫び声を上げた。
閃光が消え、八雲が顔を上げると、一人の少女が八雲の前で姫巫女純に立ちふさがるようにして立っていた。
「あっ、君は」
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