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第2章・飲み会
「それは確かに変だね」
八雲の部屋で、芋焼酎片手にハカセも首を傾げ、メガネの奥の細い目で訝しんだ。ハカセとはもちろんニックネームである。頭は良く物知りなのだが、なぜか八雲たちと同じ地方の三流大学にいる。
「でも、悪い事じゃないんじゃないか。あんな美人」
テーブルを挟んだ向かいで、缶ビール大きくくつろいでいる泰造はやはり他人事だ。
「おいっ、お前はどう思う」
静かに日本酒を飲んでいた静香に泰造が話を振る。静香もメガネをかけたその小さな顔を小さく傾げる。
「不思議な話ね」
静香はそっけない。
「おまえそんな愛想ないと結婚できないよ」
「結婚だけが人生じゃないわ」
静香はやはりそっけない。
「ほんとかわいげないね」
泰造が呆れる。泰造、八雲、ハカセ、茜、静香の五人は性格がバラバラでなんの共通点もないのだが、なぜか気が合い一緒にいることが多かった。今日もリーダー格の泰造の呼びかけに、結局五人全員が八雲の住む安普請のワンルームマンションに集まっていた。
「目的はなんなんだろう」
「そこよね」
ハカセが言うと、すかさず直ぐ隣りの台所で料理中の茜が首を突っ込む。
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