第2章・飲み会

2/3
前へ
/175ページ
次へ
「こいつを追いかけてなんのメリットがあるかってことだよな」  泰造もそれには続いた。 「私も見てみたいな。その子」  静香が言った。 「めっちゃかわいかったよな。そういえば。なんかちょっとうらやましい気もするな」  泰造がビールを飲みながら首を捻る。 「知り合いじゃないのよね」  静香が八雲に尋ねた。 「全然」 「お前が忘れてるだけなんじゃないのか。ほらお前、バイトすぐやめて転々としてた時期あっただろ」  泰三が片手に持っている缶ビールを突き出すように言う。 「う~ん」  八雲は腕を組み首を傾げるが、思い当たる節はない。 「その時に何か恨みでも買ったんだろ」 「なんで恨みなんだよ」 「恨みがあるなら姿はなるべく見せないんじゃないかな」  ハカセが冷静に分析する。 「そうね。なぜ同じ距離感でいるかってことよ。多分そこが重要なんだわ。その女の子にとって」  静香も冷静に分析する。 「それにあんなかわいい子だったら、絶対忘れないだろ」  八雲が言う。 「そうだな」  それには泰造もすぐに納得した。 「できたぜぇ~」  その時、隣の台所から茜が大きな土鍋を持って、リビングに入って来た。 「おっ、待ってました」  泰造が歓喜の声を上げる。     
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加