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まだまだ先の行事のため、俺は自室でのんびり過ごしていた。
そして、部屋にある花達に水をあげる昴の姿をずっと見ていた。
こんなにも気づかないものかな・・・
さっきからもう、ずっと見ている。逸らすわけでもなくずっと。
かわいいな・・・
花に喋りかけているような、歌いかけているような、楽しそうな昴の姿に俺は見とれていた。
俺はそっと昴の背中に近づき、抱きしめた。
「えっ!会長!?何してるんですか!」
俺の腕の中で慌てている。
「・・・嵩澄って呼んで・・・。」
俺は耳元で囁いた。もうすでに茶会の時には、昴を好きになっていたのかもしれないと最近、思うようになっていた。
後輩とかじゃなく、恋人にしたいと思うようになっていた。
「え・・・・・」
驚いたように小さく声を漏らす昴。
しかし、しばらくして昴はゆっくり声を出した。
俺の腕を握るようにして。
「・・・た・・・か・・すみ・・さん・・」
呼び捨てにしろって言ってるのに、さんを付けるあたりがまた、俺にとってはツボなのだ。
俺は昴を抱きしめる手に力を込めた後、昴の唇を奪った。
「ごめんな。突然。俺、昴が好きなんだ。」
俺は自分の気持ちをまっすぐに伝えた。
「・・・ほんとう・・ですか?・・っ・・・僕も嵩澄さんのこと・・・好きなんです・・・もう、ずっと前からっ・・・」
昴は泣いていた。
そのかわいい瞼にキスをした。
昴はくすぐったそうにして少し声を漏らした。
「・・昴の紅茶、飲みたいな・・・」
「今、淹れますね。」
少し気まずいような不思議な気持ちと、体が離れ俺達の間に流れる冷たい風に身震いした。
俺は、昴が淹れてきた紅茶の香りをかいで一口、口に入れた。
「・・・ん?これ・・」
飲んだ覚えのある、味がした。
「気づいていただけましたか?」
「これ、茶会の時に昴が出した紅茶だよな?
桃の香りがよく引き立てられてて好きだったんだ!しかも俺の大好きな桃だったからよく覚えてるよ!」
俺は自分でもわかるくらい声を弾ませていた。
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