4、伝え合い

2/4
前へ
/56ページ
次へ
まだまだ先の行事のため、俺は自室でのんびり過ごしていた。 そして、部屋にある花達に水をあげる昴の姿をずっと見ていた。 こんなにも気づかないものかな・・・ さっきからもう、ずっと見ている。逸らすわけでもなくずっと。 かわいいな・・・ 花に喋りかけているような、歌いかけているような、楽しそうな昴の姿に俺は見とれていた。 俺はそっと昴の背中に近づき、抱きしめた。 「えっ!会長!?何してるんですか!」 俺の腕の中で慌てている。 「・・・嵩澄って呼んで・・・。」 俺は耳元で囁いた。もうすでに茶会の時には、昴を好きになっていたのかもしれないと最近、思うようになっていた。 後輩とかじゃなく、恋人にしたいと思うようになっていた。 「え・・・・・」 驚いたように小さく声を漏らす昴。 しかし、しばらくして昴はゆっくり声を出した。 俺の腕を握るようにして。 「・・・た・・・か・・すみ・・さん・・」 呼び捨てにしろって言ってるのに、さんを付けるあたりがまた、俺にとってはツボなのだ。 俺は昴を抱きしめる手に力を込めた後、昴の唇を奪った。 「ごめんな。突然。俺、昴が好きなんだ。」 俺は自分の気持ちをまっすぐに伝えた。 「・・・ほんとう・・ですか?・・っ・・・僕も嵩澄さんのこと・・・好きなんです・・・もう、ずっと前からっ・・・」 昴は泣いていた。 そのかわいい瞼にキスをした。 昴はくすぐったそうにして少し声を漏らした。 「・・昴の紅茶、飲みたいな・・・」 「今、淹れますね。」 少し気まずいような不思議な気持ちと、体が離れ俺達の間に流れる冷たい風に身震いした。 俺は、昴が淹れてきた紅茶の香りをかいで一口、口に入れた。 「・・・ん?これ・・」 飲んだ覚えのある、味がした。 「気づいていただけましたか?」 「これ、茶会の時に昴が出した紅茶だよな? 桃の香りがよく引き立てられてて好きだったんだ!しかも俺の大好きな桃だったからよく覚えてるよ!」 俺は自分でもわかるくらい声を弾ませていた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加