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しかし、昴の顔はそれとは反対に暗くうつむいていた。
「・・・実は僕、ズルをしたんです。茶会の時。」
俺は頭の上にはてなマークが浮かんでいた。
なぜあの窮屈な中でズルができたのかと思い首をかしげた。
昴は申し訳なさそうに話し始めた。
「会長のカップに淹れた紅茶だけ、果物の香りをほかのカップの紅茶より強めに淹れたんです。
どうしても会長に選んでほしくて、好物を調べたんです。入学式のときの堂々としたお姿に一目惚れをして、バカだったから勉強も頑張って・・・だから!僕、今すごく嬉しくて!」
かわいいズルだな。自分の出世のためだけに生徒会役員になりたいやつばかりなのに、どこまでも俺の心を持っていくな、昴は。
反則だろ、これは。ますます好きになる。
「嵩澄。ようやくくっついたか。よかったな。」
タイミングを図ったように景彦は扉を開けて入ってきた。
「聞いてくれよ、景彦!昴のやつ茶会の時に・・・」
「ちょっ!嵩澄さん!それは内緒です!!」
「わかったよ。2人だけの秘密な。ごめんなー景彦。」
赤くなって慌てる昴の姿をみて、俺は景彦に両手を合わせてにかっと笑って謝る。
「お前らなー・・・まったく。でも、よかったよ。幸せそうで。」
景彦は呆れたように、でも祝福をしてくれた。
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