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「今年の10月にパーティーがある。今回の14名にとっては初の大きな仕事だ。それに向けて計画を立てながら、来月のテストでもきちんと結果を出して欲しい。うまく両立できてこそ生徒会の一員だ。みんな!よろしくな!」
「はい!」
このパーティーは学園の先生方のみを招いた新生徒会のお披露目式とも言われている。
1年に一度の大仕事だ。
ある日の休み時間に俺は、ひどく痛みを感じた左手の布を変えるため会長室に入った。
椅子に座り、痛みに耐えながら手袋をはずし、真っ赤に染まった布を見るとさらに痛みが増した。手首を掴み、うずくまるようになっていると部屋のドアが勢いよく開いた。
「会長!」
昴の声だった。
なんで、来たんだよ!
心の中で叫び、痛みに耐えながらその左手を背中に隠した。何もなかったかのように。
「どうかした?休み時間に。」
俺は尋ねた。
「・・・いえ、会長の様子が気になって・・・あの。左手を見せていただけませんか?」
隠してあった左手を昴はちらりと覗いた。
「・・・」
黙る俺に昴は、
「申し訳ありません!失礼します!」
そう言うと、俺の左腕を勢いよく掴み、自分の前へと引いた。
「!・・・どうしたんですか!?・・・これ・・・」
昴は、真っ赤に染まった俺の手を両手で包み、泣きそうな顔をしていた。
泣きたいのはこっちなのに・・・
痛みでどうかなりそうだった。
「・・・それ。選出儀式のとき・・・昴の後に2年を選んだだろ?・・・肩に手を置いた時、あいつカッター刃仕込んでて・・・グサッと」
俺の事なのに真剣になってくれている昴に、自然と口から言葉が出てきていた。
「グサッとじゃないですよ!・・・病院には行きましたか?」
「いや、大袈裟にしたくないと思って・・・」
俺は口ごもるようにして呟いた。
「ダメですよ!今日、行ってくださいね。」
その時、昴の左目から一筋の涙がこぼれた。
「ごめんな。昴。」
俺はその涙を優しく拭き取った。
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