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その目は手負いの獣、口からは狂犬のように唾を垂らし、歴戦の勇士のようにその手の物を叩きつけたのです。
やがて節は降参したかのように割れ、その中が明るみになりました。
「おお……これはッ! 何と愛らしい!」
竹の節の中には、珠のような赤ん坊が寝息を立てて眠っていました。
もうひとつの竹も力任せに叩き割ると、やはり同じように赤ん坊がいました。
これで計2人。
そして竹の根元には、所持品とおぼしきツヅラも見つけました。
竹の光に目が眩んで見えていなかったのです。
お目当ての収穫を得たおじいさんは、喜び勇んで山を降りていきました。
両肩にそれぞれ赤子を背負い、頭の上には器用にもふたつのツヅラを乗せて。
そのまま家に帰ってくると、おばあさんは腰を抜かさんばかりに驚きました。
「おやまぁ。そのお子はどうなさったんです?」
「山の竹藪で見つけたんじゃ。どうじゃ、大層可愛かろう?」
「ええ、そりゃあもう。それで、一体どうするのです?」
「もちろん、この家で育てるんじゃ! これは子に恵まれなかったワシらへの、神様からの贈り物じゃて」
赤子たちもケラケラと笑い始めました。
まるでおじいさんの言葉に返事をしたように。
これにはおじいさん達も揃って喜び、早くも愛情が湧き始めます。
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