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「おじいさん。この子たちに名前をつけてあげましょう。名無しでは可哀想ですよ」
「むむ。ばあさんの言う通りじゃのう。はて、どうしたものか……」
おじいさんは首を左右にひねり、ウンウンと唸りました。
そしてしばらく考え込んでいると、突然手を叩いて叫んだのです。
「よし、竹から生まれたから『カグヤヒメ』と名付けよう!」
「ええと、それはなぜですか?」
「なぜも何もあるか! どう考えてもピッタリじゃ!」
「おじいさん。お子は2人ですよ。どちらが『かぐや姫』なのですか?」
「だから! カグとヤヒメだ!」
「ええ……?」
おじいさんは大変な頑固者です。
おばあさんがどんなに素敵な名前を提案しても、そのすべてを押し退けてしまいました。
モモとサクラ、シヅクとアヤメ。
それらの香(かぐわ)しいものにも一顧だにしません。
こうしてカグとヤヒメは、貧しくも暖かい山村で育てられたのでした。
それはもうタケノコのようにスクスクと。
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