第一話 竹割り老人

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「おじいさん。この子たちに名前をつけてあげましょう。名無しでは可哀想ですよ」 「むむ。ばあさんの言う通りじゃのう。はて、どうしたものか……」 おじいさんは首を左右にひねり、ウンウンと唸りました。 そしてしばらく考え込んでいると、突然手を叩いて叫んだのです。 「よし、竹から生まれたから『カグヤヒメ』と名付けよう!」 「ええと、それはなぜですか?」 「なぜも何もあるか! どう考えてもピッタリじゃ!」 「おじいさん。お子は2人ですよ。どちらが『かぐや姫』なのですか?」 「だから! カグとヤヒメだ!」 「ええ……?」 おじいさんは大変な頑固者です。 おばあさんがどんなに素敵な名前を提案しても、そのすべてを押し退けてしまいました。 モモとサクラ、シヅクとアヤメ。 それらの香(かぐわ)しいものにも一顧だにしません。 こうしてカグとヤヒメは、貧しくも暖かい山村で育てられたのでした。 それはもうタケノコのようにスクスクと。
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