2話

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▽ 諏訪から軽く説明を受けた後、オレは母さんが持って来たパジャマに着替えて眠りにつ── 「──いや全然眠れねぇ」 むくりと起き上がり、壁掛け時計を見た。2:40。真夜中だというのに目は爛々と冴えている。 昨日の経験はまるで夢のようだが、体の痛みがそれを事実だと教える。 「トイレでも、行くかぁ」 ベッドから降りて、白いスリッパを擦りながら廊下に出た。 真っ暗な廊下は、非常口を示す緑の光だけが薄く照らす。 東京の街の地下深くに作られたこの施設は、怖いほど静かだった。 「幽霊とか、ないよな?」 そう自分に言い聞かせて、長い廊下を歩く。 スリッパを擦る音だけが響く。 少し歩いても、トイレは見つからない。 突き当たった丁字通路で、何気なく左を見た。 「ひっ!?」 思わず小さく声が漏れる。 通路の奥に、一つの人影。 パッと、人影の前の部屋の明かりが灯った。 オレンジ色の明かりに照らされたのは、同い年くらい少女だった。 透き通るように白い、真雪のような肌。絹のような白髪。うっすら濡れた紅い瞳。 遠目でもその人形のような美しさがわかる彼女は、部屋の中へ入っていった。 「すげぇ......日本人じゃないのかな」 西洋風の顔立ちをしていた彼女をしばらく思い、ハッと我に返った。 「あの人にトイレの場所聞こ」 小走りで駆け出したオレは、あかりんついた部屋の前で立ち止まり、なんのためらいもなくドアを開ける。 「すみませーん、トイレってど、こ、に......」 と、目の前で今まさに服を脱がんとシャツを胸元までたくし上げた少女に問うた。 お互い数秒の硬直。 バッと扉の斜め上を見ると、『シャワールーム』と確かに書いてあった。 「あの、ごめ──」 「──Хентай!!(変態!!)」 と、わからない言葉で叫ばれ、思い切りドアを閉められた。 その後、また暫くの硬直の後、 「......寝るか」 オレはおとなしくベッドに戻るのだった。 ──寝れるかなぁ。 ▽ 「ユウキ君、起きてください!」 「んがっ!?」 オレが揺すり起こされたのは、 朝の七時半。 ──5時間しか寝れてない! 結局あの後すぐ眠りに落ちたオレは、瞼をこすって起き上がった。 「おはよう。そろそろ準備しないと、学校遅れちゃうわよ?」 そう言ったのは、オレを起こした女性。諏訪司令の補佐役、志田百合司令補佐だ。 「ありがとう志田さん」
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