2話

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▽ 「とりあえず、メカニックのところに行ってくれ」 本部に戻るなりそう言われたオレは、『機構調整室』と書かれた扉の前に立っていた。 諏訪司令曰く、メカニックとは一人の人間のことを指し、その人は『言語癌対策室で最も年上』で『司令と共に本部を作った人物』で『年中機構調整室に篭っている変人』らしい。 「うっわ、不安」 昔アニメで見たマッドサイエンティストを思い出し、苦い顔をした。 意を決してノック。 返事はない。 開けようと思ったが、夜中のことが頭を掠ってやめた。 もう一度ノック。 同時に中から爆発音が聞こえた。 「大丈夫ですか!?」 ドアノブをひねり飛び込むと、大量の黒煙が巨大な機械から出ていた。 「けほっ!けほっ!おのれまた不具合か!」 と、聞こえてきたのは舌足らずな女声。 同時、機械の上部が開き人が出てきた。 「かーっ!計算上は上手くいくはずなんじゃが!?じゃ、が!?ええいポンコツめ親の顔が見て見たいわワシか!」 と、早口でまくし立てるのは、ススで黒く汚れた白いタンクトップを着て、下はダボっとしたズボン。長髪を後ろでまとめ、顔じゅうをススまみれにした、 見た目オレより年下の少女だった。 「えぇと、すみませーん!」 「ん、誰じゃお前。いや待て、そうか新人か!よく来たな小僧。ワシの工房へようこそ」 真っ白な歯を見せて笑う彼女は、機械から飛び降りるとこちらに歩み寄り手を差し伸べて来た。 「あ、うん。え、君が『メカニック』? 」
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