3 あの絵の少女

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すると、彩人のお腹がぎゅるるる…と鳴った。 「ほんとだ、俺腹減ってるみたいだ。」 「みたいって、ふふふっ、何それ四葉君面白い。」 「そんなにお腹抱えて笑わなくてもいいじゃん。だって本当に気づいてなかったんだから。」 「ははっ、はー、ごめんごめん、私もお腹ぺこぺこだから今日はここでお開きにする?君の描くことは明日のお楽しみってことで。」 確かに1時間も集中力を保とうと思ったら相当なエネルギーが必要だよな。そりゃぺこぺこにもなるか。引き止めるのも悪いかも。 「うん、じゃあそうする。今日はありがとう。…その絵、どうするの?」 礼を言っている隙に絵麻はパネルからまだ乾き切っていない絵を素早く外して丸めているので彩人は驚愕した。 「へ?ああ、残してるとあとあと面倒だから。欲しいならあげるけど。」 「え、捨てるってこと?なんで?こんなにいい絵なのに。あんなに大事に描いてたのに。…なんだよ、それ…。」 失望したわけじゃない、ただただ悲しい。何が三筆さんにこんな事をさせるんだよ。 「あー、なんかごめん?でも決めてるんだよね。自分の手元には残さないって。四葉君が貰ってくれるならこの子は浮かばれるよ。」 あ、三筆さんにとって自分の絵はどうでもいいものじゃなかったんだな。大切なんだ。よかった。 「じ、じゃあその絵貰っていい?絶対大事にするから。」 「うん、ありがと。」 割り切ったような顔で微笑んでるけど、寂しそうなのが隠せてないよ。でも俺に踏み込む隙も与えてくれないんだね。
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