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「えー、それでは皆さんっ、今からっ、一人ずつっ、名前を呼ぶのでっ、返事をしてっ、立って下さいねっ。あとっ、一言もっ、お忘れなくー。」
教壇に立った初老の男が焦れったくなる口調でゆっくりと話している。
え、何このじーちゃん。このじーちゃんが担任なの。ハズレじゃん。3年間担任変わんないんだよねこの高校。詰んだわ。イケメンいるかなー。1番後ろだから誰の顔も見えないんだけど。
「えーっ、ではっ、1番のっ、明田君ー。」
先生の号令で、1人づつ簡単な自己紹介を始めた。緊張で名前だけ言って座る者、チャラそうな趣味を公開する者、クスッと笑えるような事をいう者など、芸術系の学校とはいえ色々な人種がいる。
何言おっかなー。多分クラスの半分ぐらい私のこと知ってるよね。自己紹介しなくても既にSNSで回ってそうだし絵のことは言わなくていっか。
そんなことを考えていると座っている窓際の席と逆の廊下の壁沿いの1番後ろに座った女子が立ち上がった。
「西野唯香です。トランペット吹きます!3年間よろしくお願いします!」
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