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その男子は絵麻が座ってからしばらく視線を送り続けていたが、自分の番が回ってきて前に向き直った。
「後1人ですねっ、はいっ、四葉君っ、よろしくー。」
絵麻は聞き覚えのある名前にドキッとした。いや、聞き覚えというよりずっと心に引っかかっていた名前だ。絵麻はその名前を知っていた。
四葉?いや、別にそんな珍しい苗字でも無いし期待しすぎでしょ。でもめっちゃこっち見てたし。もしかして、もしかして。
「四葉彩人です。えーっと、趣味は絵を描くことかな。取り敢えずよろしくお願いします。」
底抜けに明るい口調で発せられたその言葉で、もしかして、が確信に変わった。その名前を忘れた事は、あの瞬間から1日たりとも無かった。
あ、アタリだ。大アタリだ。あの絵の子だ。私もずっと探してたんだよ。あんたに会いたくて会いたくて仕方なかったの。
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