2 あの絵の少年

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「三筆さん、だよね?俺、ずっと会いたかったんだ!小5の時のコンクールで最優秀作品になってた絵をみて、あっ、そんな昔のこと言われても困るかな。」 彩人は先程のクラスメイトとは違い、はにかみながら辿々しく、丁寧に言葉を紡いで行く。 えー何かの生き物すっごい可愛い。なんか言わなきゃ。答えてあげなきゃ。ていうか、へ? 「小5のコンクールって、もしかして全日本学生絵画コンクール?四葉君審査員特別賞貰ってたよね?私もあの時の君の絵見てからずっと会いたいって思ってたんだ!」 言い終わったところで周囲がざわつき、彩人はこれ以上ないほどの驚きの表情を浮かべ、次に先程までの倍ほどの興奮の色をその大きな瞳に映し出した。 いやこっちもおんなじだよ。まさか君に逢えるだなんて思ってもみなかった。何故って居場所が遠すぎたから。当時、というか中学まで私は大阪に住んでて君は宮城だったから。東京に行くことになった時は距離が近づくとは思ったけど、まさか宮城の四葉彩人が東京にいるとは思わなかったし。そもそも向こうも私を探してただなんて微塵も期待してなかったし。     
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