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2人は暫く見つめ合うような探り合うような視線を送り会って対面を喜び合う心地よい沈黙が続いていたが、それは第三者の声によって打ち砕かれた。
「2人が探しあってたってどういうこと?三筆さんが探されるのは分かるんだけど、なんで何でもないこの人が探されるわけ?ましてやこの三筆さんに。」
突然入れられた横槍にクラスメイトたちは同意の色を示した。目の前の彩人はついさっきまで浮かべていた笑みを引っ込め、虫の居所が悪そうな顔をする。
ちょっと、人が感動の対面を果たしているところなのになんて言い草すんのさ。やたらと私リスペクトしてるけど、あー、私の絵集めてるって言った子だ。じゃあ私が探してた人を貶すのは違うと思うんだけど。それ私の事も貶してるよね?いやそうじゃなくて。あなた彼の絵見たことあるんですか?無いよね。
「じゃあ放課後一緒に美術室行かない?一緒に描きたい。ていうかずっと一緒に描いてみたかった。どう?」
そうすれば、四葉君がどんなものかみんな分かるでしょ。四葉君、君がそんな顔する必要ないんだってば。絵は人の心を動かすとか言うけど絵って本来ただの紙と絵の具で作り出されたものなんだよ。けど君のそれは確実にあの時私の心を大きく揺さぶったわけ。だから何でもない四葉君じゃないから。証明しようよ。
と、心の中ではそんな風に息巻いていた絵麻だったが口には出さなかったので、周りは皆絵麻が横槍少女を完全に無視したと勘違いしたのは、無理もなかった。
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