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傷口を消毒し、軟膏を塗ると、テオドールは痛みで呻いた。その上に包帯を巻きながら、大地は持ちうる最大の愛を込めて彼に言った。
「痛いだろう、ごめんな。熱が出たりしたら言えよ」
薄い膜が張ったようになっている瞳を見て、相当苦しいのだと察したが、きっと彼はそうは言わないだろうというのも分かっていた。
妙な高揚感は未だに続いていた。
「お前は、俺をどうしたいんだ」
皮肉げに唇を歪める彼を見て、腕の中に閉じ込めておきたいと言わなかったのは、大地の精一杯の理性だった。しかし、他の誰にも手出しができないように、自分のものにしてしまえるように、と刻んだ証を見てそっと薄暗い笑みを浮かべてしまうのは抑えきれなかった。
「だから言ってるだろう、俺のものにしたいと」
包帯の上から刺青をなぞるように頬を撫でる。その瞳に映るのが苦痛だけではないのを見て取り、大地は更に笑みを深くした。大地が彼を染め上げるのに口を歪めるように、テオドールもまた、大地に支配される度に、甘い色を含ませ潤んだ目を繕うように伏せる。寄せられた眉と、薄く開いた唇、そこから漏れる吐息は、まるで悦楽に浸るかのよう。
口でなんと言おうと、それは決して本質ではない。大地がテオドールを求めるのと同様に、彼も大地を欲し、渇いていた。それを彼にはわからないようにどぷりどぷりと、満たす。大地の愛と言うにはいささか濁りきった、欲望と執着で彼を埋め、そうして、いつか彼が笑えればいいと思った。
「そんな顔、しないでくれ」
快楽と絶望の狭間で、彼はまた、その瞳を愁いに沈める。
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