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「泣くなよ」
大地が笑えば笑う程、平平の涙は零れた。じわりと滲んだ暗い心は、罪悪感に似ていた。
「お前が泣かないから……!」
そう平平に言われても、大地は、泣けなかった。泣けない理由があった。
「あいつは笑うことも泣くことも出来ないだろうから」
大地はまた、笑った。その笑顔は、きっと不格好なものだったのだろう。平平の顔はさらにくしゃりと歪んで崩れた。
日が暮れるまで平平は泣きじゃくり、その背中を撫でながら、大地は笑い続けた。
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