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「おはようございます。成谷さん」
補佐役の師子堂 孝が話しかけてくる。
「あぁ」
返事をし、このあとの予定を聞く
「今日は1日、国の要請でリジェウイルスの患者への面会ですね。」
「解った。」
リジェウイルスとは、リジェナレーションウイルスの略で、近年問題とされている謎のウイルス。
症状は、感染者の再生力を活性化させ驚異的な速さで傷などを再生させるものである。
不思議なことにそのウイルス感染者から他人に移ることはない。
他に特徴として、普通に生活をしていれば、外傷などにより死亡することはほぼない、ほぼというのも精神疾患を患っている場合には再生力が低下するのにも関わらず自傷行為を頻繁に行うためである。
そして最終的には、その弱った体に度々負荷を与えることにより、再生能力が全くなくなる。
「で、その患者の寿命どれくらいなんだ?」
俺の役目は寿命が近いと診断された感染者の相談に乗ること。
「えーとですね。…!」
「どうした?」
資料をめくって、師子堂のあからさまに驚いた様に何度も確認する。
「まだ、診断はされていないようです…」
「詳細は、書かれていないのか?」
「詳細には…前任者から聞くようにと書いてあります。」
前任者…?
俺等の仕事は患者が決まったら相手が亡くなるまで人事異動はない…はず
「それだけか?」
「はい。」
しょうがない、行くしかないか
「行くぞ、師子堂。」
「はい。」
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