捨てたもの、拾ったもの。

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 カラカラと窓を開けると冷たい風が部屋の中へと入り込む。フルリと身体が震える。カラリと晴れた雲ひとつ無い空がどこまでも広がっていた。空模様と同じように晴れ晴れとした気持ちでとても穏やかな心持ちだった。 「んー、気持ち良い」  サラサラと短く切った髪が風でなびく。引越業者は段ボールに詰まった荷物を部屋の中に積み上げると帰っていった。今は新しい家にひとり。  ふとあの日の事へと想いを馳せる。未練と期待とそして想いを捨てたあの日の事をーー……。
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