スノープラネット

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「──ああ、ついに兄貴まで、この惑星(ホシ)で死んじまった。これで何人になる? 地球に還ること叶わず、此処でくたばっちまったのは、ええ? 一体いつになったら、大氷期は終わるんだ? ……全く、監視者(モニター)なんて、とんだ貧乏くじをひいたものだな、俺らの先祖は。……俺だって、他の大勢と同じように、地球に残りたかった。そんで、犬や鯨や蝶々と一緒に、地下で眠って、悠長に春を待ちたかったさ。」 僕には、叔父さんの嘆きは今ひとつ理解できなかった。僕は、このまま地球がずっと、何もかもが凍りつくような、とてつもない冬で、還れなかったとしても、一向に構わなかった。そもそも、地球に「還る」というのに違和感があった。僕は、この惑星(ホシ)で生まれ育ったのだ。地球なんて、得体の知れないところには、できれば行きたくはなかった。 「──もう嫌だね、こんな惑星(ホシ)は! 此処には悪いものが取り憑いてる。みんな病んで、早死にする。此処には何もない。有るのは、幽霊(ゴースト)幽霊(ゴースト)!──それだけだ。」 叔父さんの吐き捨てた言葉に、周りの親戚からは同情の声が起こった。でも、僕は分からない。──僕は、僕は何者なんだろう。誰も理解できない。僕も理解されない。──スノウ。そうだ、スノウに会いたい。 それから、さらに三年の月日が流れた。背も、随分と伸びた。でも、今でも、僕は相変わらず、屑山に登っては、スノウを──あの物語の続きを探しているのだ。     
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