スノープラネット

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僕の故郷は、真っ白な砂で覆われた、小さな小さな惑星(ホシ)だ。 物心ついてからはずっと、父さんの建てた屋敷の離れで、僕は暮らしていた。真四角の、あまりにシンプルな造りの建物で、家というよりは箱に近かった。 母さんのことは覚えていない。ずいぶん昔に死んでしまったから。父さんも、ほとんど僕に会いには来なかった。でも僕は、ちっとも寂しくなかった。──スノウが居てくれたから。 スノウは、子守用のアンドロイドで、男とも、女とも分からないような見た目をしていた。僕は、父さんが作った物の中で唯一、スノウのことは大好きだった。 スノウは、僕の身の回りの世話をしてくれた。僕に必要な教育を施してくれた。──僕の、良き遊び相手だった。スノウと僕は、いつも一緒だった。 白い砂に埋もれながら、よく二人で、屋敷の周りを散策した。僕が砂に足を取られ、身動き取れなくなった時には、必ずスノウが引っ張り上げてくれるのだ。     
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