スノープラネット

4/14
34人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「叔父さん、どうしたんですか。」 「ああ、トーヤか。見てくれよ、これ。今朝から、ずっとこうなんだ。」 僕は、叔父さんの手元へと目を落とす。 『……あッア"ァ……あァ……あア"ァアアア……』 ラジオは、人間の呻き声のような不気味な音を発していた。 「──幽霊(ゴースト)憑き? 」 「ああ、もうこうなったら、どうしたって駄目だな。今から、屑山に捨てて来る。」 「僕の父さんにまた、新しいのを頼んでは? 」 「そうするよ。」 そう言って、叔父さんはスタスタと歩き去る。 『……ア"ァァ……』 呻き声が、背後からまだ微かに聞こえた。 ──こんなことは、此処では特別珍しくもなかった。「幽霊(ゴースト)」と呼ばれるものたちの仕業だ。幽霊(ゴースト)は、この惑星(ホシ)の至るところに存在するらしいが、姿形はなく、それ単体では、僕らが認識することはできない。けれども、一度機械に取り憑けば、異常な音を発させたり、暴走させたりと、様々な不調を引き起こすのだ。 ──僕の母さんは、幽霊(ゴースト)憑きになって暴走した除砂車(サンドプラウ)に轢かれ、死んだらしい。父さんがそう言った。     
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!