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今のところ、幽霊たちの正体は不明。ただ、一説によれば、僕らが来る遥か昔に、この惑星に先住していた生命体の、残留思念だとか。
『……坊っちゃん、あれらは得体の知れないものです。関わらない方がいい。』
振り返り、声を気にする素振りを見せる僕をスノウがそっとたしなめた。
──あの時、スノウの目が悲しげだったことに、ちゃんと気付けていればよかったのに。
……僕の、一番の後悔の日、その日のことについて、思い返すのは、今でも非道く苦痛だ。だからできる限り、簡潔に語ろうと思う。
あの日、父さんが久しぶりに、僕らが居る離れまでやって来た。父さんは、床に小さな糸屑が落ちているのを目ざとく見つけると、掃除ができていないと、スノウを責め立てた。──機嫌が悪い時に、自分が作った機械に向かって、何かと当たり散らすのは、父さんの癖だった。
「家事をするしか能がないくせに。それすら満足にできないお前は、ただの木偶人形だ。」そんなことを言って、スノウを馬鹿にした。それで、僕は腹が立って、つい言い返してしまったんだ。
「スノウは、歌を綺麗に歌うし、物語だって、作るのが上手なんだから。」って。──すると、父さんの顔がみるみる青ざめていった。
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